溶接資格ぜんぶ並べてみた|難易度と取る順番
溶接の資格を調べ始めると、特別教育、技能講習、JIS、免許——似た名前がずらりと並んで、どれが必須でどれが任意なのか、どれから手を付ければいいのか分からなくなります。この記事では溶接に関わる主な資格を一枚の表に集約し、難易度と優先度で並べ直したうえで、「国家資格はどれか」「一番難しいのはどれか」「有効期限はあるのか」といった、比較の途中で必ず出てくる疑問にも順に答えます。
一覧表
| 資格 | 種別 | 日数 | 費用目安 | 難易度 |
|---|---|---|---|---|
| アーク溶接特別教育 | 就業(必須) | 3日 | 2万〜3.2万円 | 低(落ちない) |
| ガス溶接技能講習 | 就業(必須) | 2日 | 1.2万〜2万円 | 低(修了試験あり) |
| 自由研削といし特別教育 | 就業(併せて取る定番) | 1日 | 8千〜1.2万円 | 低 |
| 技能者評価試験(基本級) | 技量 | 試験1日 | 2万〜3万円台 | 高 |
| 技能者評価試験(専門級) | 技量 | 試験1日 | 同上 | 最難 |
| ボイラー溶接士 | 国家資格 | 試験 | 受験料等 | 高(経験必須) |
| 溶接管理技術者 | 管理系 | 試験 | 受験料等 | 高(筆記重い) |
表を眺めると「種別」の欄に就業・技量・国家資格と異なる言葉が並んでいることに気づくはずです。まずこの区分の意味を整理しておきましょう。
溶接資格に国家資格はある?JISは国家資格?
あります。ただし「国家資格」の意味合いが資格ごとに違うので、そこを区別するのがこの分野を理解する近道です。
- 労働安全衛生法に基づく法定資格:アーク溶接特別教育・ガス溶接技能講習がこれ。国の法律で「これを修了していないと業務に就けない」と定められた資格で、就業のための必須ライセンスです
- 国家免許:ボイラー溶接士(普通・特別)。免許試験に合格して免許証が交付される、字義どおりの国家資格です
- JIS溶接技能者評価試験:日本産業規格(JIS)に基づき日本溶接協会が実施する技量の評価資格。国家資格ではありませんが、官公庁工事や重要構造物の仕様書で保有が要求されることが多く、実務上の重みは国家資格級です
- 溶接管理技術者:施工管理・品質管理側の民間資格。工場認証の要件になることがあり、キャリア後半で効きます
つまり「就業の入口は法定資格、腕の証明はJIS、管理側は管理技術者」という三層構造です。では、その中で最難関はどれなのでしょうか。
一番難しい溶接資格はどれ?
実技系ではJIS評価試験の専門級、とくに配管(管)のTIG溶接で裏波を出すTN-Pなどが最難関クラスとされ、筆記系では溶接管理技術者の特別級が最難関とされています。
難しさの質が資格によって違う点に注目してください。
- 特別教育・技能講習:講習を受け切れば修了できる設計。難易度は「低」で、落とす試験ではありません
- JIS基本級(下向):練習量がそのまま結果に出る実技試験。未経験からだと数か月の練習が必要ですが、現役の溶接工なら十分手が届きます
- JIS専門級(立向・横向・上向・管):姿勢の制約が増えるほど難しくなり、とくに管の全姿勢溶接は熟練者でも落ちることがあります(実技対策の記事)
- ボイラー溶接士:実務経験が受験要件にあり、学科+実技の両方が課されます
- 溶接管理技術者(特別級・1級):溶接冶金や設計まで問われる筆記中心の試験で、勉強時間の確保が最大の壁です
「難しい資格=先に取る資格」ではありません。難関資格はどれも実務経験と併走して取るものなので、順番はあくまで次の基本形どおりで大丈夫です。
取る順番の基本形
半自動溶接の資格はどれを取ればいい?
JIS評価試験の半自動溶接部門(SA-2Fなど)が事実上の標準です。工場の生産現場では半自動(CO2・MAG)が主力工法になっているため、「半自動の腕を証明できる資格」の求人価値は年々上がっています。
- 記号の読み方はシンプルで、SA=半自動、2=板厚区分(中板)、F=下向を意味します。最初の目標として最も選ばれるのがこのSA-2Fです(SA-2Fの記事)
- 手溶接(被覆アーク)の評価試験(N-2Fなど)と部門が分かれているため、会社で使う工法に合わせて受験部門を選ぶのが鉄則です
- 受験には事業所経由での申込みが一般的なので、就職後に会社と相談して受けるのが現実的なルートです(半自動資格の記事)
そしてJIS系の資格を取ったら、必ず知っておくべきなのが「期限」の存在です。
溶接資格に有効期限はある?更新は必要?
特別教育・技能講習の修了資格に有効期限はありません。一方、JIS溶接技能者評価試験の適格性証明書には有効期限があり、1年ごとのサーベイランス(継続確認)と3年ごとの再評価・更新が必要です。ここを知らずに失効させる人が後を絶ちません。
- 期限なし:アーク溶接特別教育、ガス溶接技能講習、自由研削といし特別教育。一度取れば生涯有効です(ただし長いブランク後は事業者による再教育が推奨されます)
- 期限あり:JIS適格性証明書。継続手続きを忘れると失効し、再取得には試験からやり直しになります(有効期限の記事・更新忘れの記事)
- ボイラー溶接士:免許自体の更新に加え、業務を続けるための定期的な要件が定められています
転職時に「JIS保有」と書くなら有効期限内であることが前提です。手帳やスマホのカレンダーに更新月を入れておくだけで防げる失点なので、取得したその日に登録しておきましょう。
未経験の人が最初に揃える3点セット
アーク溶接特別教育+ガス溶接技能講習+自由研削といし。この3つがあれば「現場に入れる人」になります。合計4〜5日、5万円前後。求人票の必須資格欄はほぼこれで埋まります(求人の見方の記事)。
3点セットの費用感が見えたら、最後に負担を軽くする方法も確認しておきましょう。
費用を抑える手も
対応する教習機関
協会系公益社団法人 北海道労働基準協会連合会
ガス溶接技能講習を技能講習メニューとして実施。金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習も開催(北海道労働局登録教習機関)。年間予定表を公開し通年開催。
メーカー系キャタピラー教習所 北海道教習センター
アーク溶接特別教育とガス溶接技能講習の両方を開催。フルハーネス型墜落制止用器具特別教育・職長安全衛生責任者教育も実施。外国語による講習を多数開催。
メーカー系コベルコ教習所 北海道教習センター
アーク溶接等特別教育は21時間(学科11時間+実技10時間)・受講資格の制限なし。ガス溶接技能講習は13時間(Vコース)、ベトナム語対応のV3コースは17時間。移動式クレーン・車両系以外の技能講習の実技を屋内で実施。