母材処理の基本

最終更新日: 2026-08-20

溶接がうまくいかない原因の多くは、アークを出す前にあります。母材の表面状態は溶け込みと欠陥を直接左右する。「磨いてから溶接」を原則にする理由を解説します。

この記事の目次
  1. なぜ表面処理が必要か
  2. 要注意の材料:亜鉛メッキと油
  3. 錆びた材料の補修溶接での判断

なぜ表面処理が必要か

  • 錆・塗装・油はガスと不純物の発生源:溶融池に混ざるとブローホール・スラグ巻き込みなどの欠陥に直結(欠陥の記事
  • 電気の通り道も邪魔する:被膜はアークの安定を乱し、アースの接触不良も起こす。「アークが荒れる・くっつかない」の隠れ主因(失敗の記事
  • 処理の基本は溶接線とその両側20mm程度を金属光沢が出るまでグラインダー・ワイヤブラシで磨く。アースを取る箇所も忘れずに磨く

要注意の材料:亜鉛メッキと油

  • 亜鉛メッキ材(単管・メッキ鋼板・ボルト類)は危険度が別格:溶接熱で亜鉛が蒸発し、有害なヒュームを大量に出す(吸うと金属熱と呼ばれる症状の原因に)。メッキを完全に剥がしてから溶接+換気・マスク必須換気の記事ヒュームの記事
  • 油・切削油:脱脂(パーツクリーナー等)してから。油煙は欠陥とヒュームの両方を悪化させる
  • 塗装剥がし:剥離剤よりグラインダーが確実。塗膜を焼きながらの溶接は煙・欠陥・悪臭の三重苦

錆びた材料の補修溶接での判断

  • 表面錆:磨けば健全な母材が出る。磨いて光らせてから溶接すれば問題ない
  • 進行した錆(板厚が痩せている):磨いた結果ペラペラなら、その部分は切り取って新しい板を当てる(当て板)のが正解。痩せた母材への溶接は穴あき(薄板の記事)と強度不足の二重リスク
  • 農機具・門扉などの補修:錆の陰の残存板厚を確認する癖を。叩いて音を聞く・ドリルで健全部を確かめる、が現場の知恵(補修溶接の記事で詳述予定)
  • 仕上げの防錆塗装まで一連の作業。溶接部は錆びやすいので、スラグ除去→錆止め→上塗りで締める

「磨き8割」は言い過ぎではありません。グラインダーの時間を惜しまないことが、結局いちばんの時短です。

対応する教習機関

メーカー系キャタピラー教習所 北海道教習センター

会場:札幌市(北広島インターチェンジ至近)

アーク溶接特別教育とガス溶接技能講習の両方を開催。フルハーネス型墜落制止用器具特別教育・職長安全衛生責任者教育も実施。外国語による講習を多数開催。

メーカー系コベルコ教習所 北海道教習センター

会場:北海道(屋内実技場を保有)

アーク溶接等特別教育は21時間(学科11時間+実技10時間)・受講資格の制限なし。ガス溶接技能講習は13時間(Vコース)、ベトナム語対応のV3コースは17時間。移動式クレーン・車両系以外の技能講習の実技を屋内で実施。

メーカー系コマツ教習所 北海道センタ

会場:北海道

アーク溶接等の業務に係る特別教育は3日間・受講料32,000円(テキスト代込)。ガス溶接技能講習は2日間・受講料26,000円(テキスト代込)。受講要件は特になし。

アーク溶接特別教育の教習機関一覧を見る

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