趣味の溶接に資格は要らない。ただし装備と場所の問題は残る

100V溶接機はホームセンターで買えます。「資格がないと違法では?」とよく聞かれますが、答えははっきりしています。趣味なら要りません。ただしそれで終わりにすると危ない。
趣味の溶接に資格義務はない
アーク溶接の特別教育を義務づけているのは労働安全衛生法で、これは事業者が労働者に業務をさせる場面の規制です。完全に個人の趣味として自宅で溶接する行為には適用されません。ガレージでバイクのステーを直すのに資格は要りません。
ただし境界があります。作ったものを継続的に販売する、頼まれて報酬をもらう、従業員にやらせる——こうなると業務性を帯び、特別教育の対象になっていきます。メルカリで溶接小物を売り始めたら、もう趣味とは言い切れません。
資格より先に問題になるのは電源・火災・目
- 電源:100V機でも定格いっぱいで使うとブレーカーが落ちます。延長コードの細い線は発熱の危険があります
- 火災:スパッタ(火花)は数メートル飛びます。可燃物のない場所と消火器の用意が前提です
- 目と皮膚:アーク光は紫外線で目を焼きます(電気性眼炎)。遮光面は必須で、周囲の人にも見せないこと。半袖での作業は「アーク焼け」というやけどになります
- 換気:ヒュームの吸入は健康被害の原因になります。屋内なら換気は必須です
特別教育で教わるのは、まさにこれらです。義務がなくても、知識として講習内容は必要というのが実態です。
賃貸・住宅地での現実問題
法律より先に、近所と契約の問題があります。賃貸のベランダや共用部での溶接は契約違反になる可能性が高く、住宅地では光と音の苦情が出ます。レンタル工房やシェア工場に溶接ブースを備えたところがあり、趣味でやるならそちらが現実的です。工房によっては利用条件として特別教育の修了を求めるところがあります。趣味でも修了証が役に立つ場面です。
どうせ受けるなら2日で終わる
アーク溶接の特別教育は3日(学科+実技)、ガス溶接技能講習は2日。費用は各1.5〜2万円前後です。趣味の延長で仕事にする可能性が少しでもあるなら、受けておいて損はありません。取り方は溶接資格の取り方にまとめています。
対応する教習機関
協会系公益社団法人 北海道労働基準協会連合会
ガス溶接技能講習を技能講習メニューとして実施。金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習も開催(北海道労働局登録教習機関)。年間予定表を公開し通年開催。
メーカー系キャタピラー教習所 北海道教習センター
アーク溶接特別教育とガス溶接技能講習の両方を開催。フルハーネス型墜落制止用器具特別教育・職長安全衛生責任者教育も実施。外国語による講習を多数開催。
メーカー系コベルコ教習所 北海道教習センター
アーク溶接等特別教育は21時間(学科11時間+実技10時間)・受講資格の制限なし。ガス溶接技能講習は13時間(Vコース)、ベトナム語対応のV3コースは17時間。移動式クレーン・車両系以外の技能講習の実技を屋内で実施。